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東日本大震災 いつ仮設に入れる 20畳に6世帯14人

 東日本大震災の発生から2カ月が過ぎた。仮設住宅の建設が進まず、被災者の避難所生活は長期化する。ストレスや睡眠不足などが重なり体調を崩す被災者も多い。岩手県陸前高田市の避難所の一室を1カ月余り取材し、避難所暮らしの現状を探った。【竹内良和】

 ◇避難所閉鎖におびえ…陸前高田

 5月4日、同市の特別養護老人ホーム「高寿園」を訪ねた。震災当日から避難所となり約180人が暮らす。玄関先のポールに、こいのぼりが泳いでいた。

 ホームの一室「まんさく」では、「いつになれば仮設に入れるんだ」「市長や職員は一度も様子を見に来ないじゃないか」との会話で持ちきりだった。

 通常、入所者がベッド4台を並べる20畳ほどの部屋に6世帯14人の被災者が寝泊まりする。生活用品が入った段ボールを各世帯の仕切り代わりにし、毛布を床に広げての雑魚寝が続く。先の見えない避難所暮らしに皆いら立ち、不満の矛先は市に向かっていた。

 石井嶺雄さん(66)は毛布1枚強のスペースに、妻と長男の3人で過ごす。余震におびえ、眠りの浅い日々が続く。「専らの話題は仮設への入居。市からの情報もなく、すべて臆測でものを考えてしまっている。『一晩で帰れる』と思って家を出たのに……」

 そして、部屋の人たちは「震災2カ月で避難所が閉鎖されるらしい」と口々に不安を訴えた。市には4月30日時点で、県から災害救助法に基づく避難所の運営を、「7月10日まで延長する」との連絡が入っていた。しかし、市が広報紙で被災者に「延長決定」を伝えたのは5月7日。被災者は約1週間も無駄に悩んだことになる。

 ◇食欲減り、エコノミー症候群も

 部屋を初めて訪ねたのは4月1日。当時は避難所に生鮮食料品が届かず、おかゆやカップめん、パンで3食をしのいでいた。「いただけるだけでありがたい」と感謝しながら食事をとっていたが、野菜がとれず胃がもたれ、皆の食欲は次第に減退していった。

 食欲不振に加え、行方不明の次男夫婦を捜し歩いたことで地震後1カ月で体重が7キロも落ちた及川和子さん(70)は「体重計が壊れているかと思った」と振り返る。被災50日目で食事に初めて缶詰以外の魚が出た時は、「こんなにブリがおいしかったのね」と部屋で笑い合ったという。

 トイレも不自由だ。男性は、屋外の仮設トイレまで約100メートル歩かねばならず、女性用は屋内にあるものの、ポータブル式のため悪臭が漂う。皆、知らず知らずのうちに水分を控えていたという。

 4月中旬以降、過酷な暮らしがたたり、部屋の9人が、急性胃腸炎などで次々と倒れた。一時は部屋にいくつも点滴が下がり「病室のような状態」になった。

 菊池弘(ひろ)さん(73)は急性胃腸炎で1週間入院。更に退院後の健康診断でエコノミークラス症候群を発症していたことが分かった。体調不良で点滴をした夫の友一さん(74)は「みんな、薬の袋をいっぱい持ってる。僕らだって気晴らしにお酒を飲みたいけど、ここじゃ大っぴらにはできない」と苦笑する。

 救いは6世帯中5世帯が元の近所同士で気心が知れた仲だったこと。津波時、公民館長として避難を呼びかけた千田勝郎さん(70)はムードメーカー。「おれは老人クラブの青年団。まだまだ元気だ」などと冗談を飛ばし、隣人を励ます。「みんな一緒に近くの仮設に入りたい」。被災者の切実な願いだ。

   □  □

 陸前高田市は震災で職員の4分の1が死亡・行方不明になった。他自治体から応援職員も入ったものの、震災業務で忙殺されている。市の広報担当は「住民基本台帳すら流されてしまい、すべての業務を一から始めないといけない。職員の手が足りない」と語る。

 避難所への日常的な情報伝達は、職員が1人で編集するA4判2ページの広報紙のみ。市は避難所の状況を自衛隊を通じ把握しており、被災者が求める情報を細かに把握することが難しい状況だ。
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