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人は他人の容姿の美醜を目にも止まらぬ0.013秒で見分けることができる?

人は見かけによらないとも言うが、容姿に優れた人が好印象を与えがちなのは否めない事実である。ペンシルベニア州立大学心理学部のイングリッド・オルソン教授率いる研究チームでは、人が他人の美醜を認識するプロセスを調べるために、いくつかの実験を行った。

オルソン教授は、こう話している。「魅力的な容姿をしている人が(そうでない人に比べて)社会的にも経済的にも大きく優遇されることは、これまでの研究で何度も何度も立証されてきました。容姿が優れているほど、収入が高くなり、知的と見られ、他人に注目される度合いが高くなります。幼児でさえ、魅力的な顔を好む傾向があることがわかっています」

オルソン教授らは、人間は一瞬にして(無意識的に)他人の美醜を判断しているのではないかと考え、次のような実験を実施した。

•実験サンプル
3校の高校の卒業記念アルバムから男女の“美しい顔”と“醜い顔”を選び、スキャナーで取り込んでデジタル画像にした。

•実験方法
上記の顔写真を0.013秒ずつコンピュータ画面上に表示し、被験者に顔の美醜を評価させた。

表示時間0.013秒というのは、目にも止まらぬ早さである。実際、被験者は画像が見えないと報告した。ほとんどカンに頼って判断しているに等しい状態だった。にもかかわらず、被験者たちの美醜判断は極めて正確だった。

オルソン教授曰く。「一瞬しか表示されない画像に対して、被験者たちは無意識的でありながら、きわめて正確に美醜を見分けることができたのです」

“美しい顔”と“醜い顔”を選んだといっても、いったいどういう基準で選んだのかと訝しく思う人が多いだろう。オルソン教授は、次のように説明している。

「どういう顔が美しいかをかを決める絶対的な法則はありませんが、私たちは、両極端なサンプルを選ぶことにしました。つまり、非常に醜い顔と非常に美しい顔です」

さて、容姿の美しさが経済的および社会的な便益をもたらすことを説明するには、もう一歩突っ込んだ実験が必要である。そこで、オルソン教授らは“プライミング効果”を検証するための実験を続けて実施した。

“プライミング効果”とは、ある言葉やイメージなど(先行刺激)を見た後、別の言葉やイメージ(後続刺激)の評価に影響が生じることを意味する。美男美女の写真を見た後、良い意味を持つ言葉への反応が速ければ、“プライミング効果”が生じていることになる。これを確認するために、次のような実験を行った。


•サンプル1(先行刺激)
上記と同じく、美しい顔と醜い顔の写真。


•サンプル2(後続刺激)
良い意味を持つ言葉と悪い意味を持つ言葉。


•実験方法
まず、被験者にサンプル1を見せた後、サンプル2を見せる。ただし、顔を意識するなと指示した上で、サンプル2を悪い意味の言葉と良い意味の言葉のいずれかに分類させる。


被験者たちは、美しい顔を見た後の方が、「笑い」や「幸福」など、良い意味を持つ言葉を素早く分類できた。その反応速度は、被験者による違いが少なく、ほぼ均一であった。

この実験結果が意味するところを噛み砕いて言えば、人は容姿に優れた他人にポジティブなイメージを連想しやすいということになる。相手が美女やイケメンであれば、良いことを連想しやすくなるのである。

ともあれ、この実験で一番曖昧なのは、美しい顔と醜い顔の定義であろう。「非常に醜い顔と非常に美しい顔という2つの両極端を選んだ」と言われても、曖昧さの解決には至っていない。美醜の判断には、主観的な要素が濃いはず。ま、確かに「誰がどう見ても美しい/醜い」という究極があるのも事実なわけで、この話題性の高い実験結果が広く知られるにつれて、これがあちこちで議論の的になるだろう。

人が他人の容姿に関して無意識で評価している部分に共通性が高いとしても、あまり不思議ではないと思う。ただ、その評価が長く持続するとは限らない。上記の実験結果は、単に“第一印象”が作られるプロセスを説明しているだけではないかという気がする。

上の実験で判断される容姿の良さは、社会的・経済的に優遇される結果に繋がっているとされる容姿の良さと一致しているとは限らない。社会的に成功しているから、魅力的に見える人もいる。“容姿が良い”のは、原因ではなく結果の場合もある。

よって、上記の実験のように一瞬にして判断される美醜が長期にわたって影響力を持つ可能性は五分五分と見る。
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