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東日本大震災 働く場も奪う ハローワークには多くの人

 東日本大震災による大津波は、人々の働く場も奪った。青森、岩手、宮城、福島の4県では、3月にハローワークで受け付けた新規求人数が前月より2割以上も急減。被災各地のハローワークには連日、失業後の補償や新たな職を求め多くの人が押し寄せているが、仕事を探そうにも求人は少ない。雇用主もあまりの被害の大きさに事業再開への道筋を見いだせないでいる。

 「仕事ねえなあ」。ハローワーク石巻(宮城県石巻市)の求人検索用パソコンの前で、女川町の佐藤浩也さん(49)が嘆いていた。同町の水産加工会社で魚を急速冷凍する機械を操る「冷凍機関士」として約30年間働いてきたが、津波で設備が流失し、3月末に解雇を言い渡された。

 妻子と5人暮らし。末っ子は再来年大学受験を控え、自宅のローンも約2000万円残る。求人票の賃金欄を指でなぞった。「12万円、15万円、10万円……。どれも今の給料の半分もない。給料がいい仕事があったと思うと、免許が必要だったり、畑違いの仕事ばかり。県内の水産加工業は全滅した。同じ仕事を探すなら出稼ぎしかない」。失業手当でもらえるのは、今までの給料の半分だけだ。

 ハローワーク石巻によると、今月1~21日の新規求人数は延べ841件。一方で、新たに求職者登録をした人は昨年比約4倍の4450人に上る。

 うち986人に仕事を紹介したが、複数の人が応募するため、内定者は156人にすぎない。ハローワーク石巻の担当者は「物流もライフラインも完全には復旧しておらず求人が少ない。1日1000人近く来る日もあるが、当面は失業給付でしのごうという人が多い」と説明する。

 県労働局が3月14日~4月22日の失業給付の受理件数を集計したところ、昨年の約3倍の1万9479人。特に石巻市では昨年の9倍の5709人、気仙沼市では約10倍の2509人となった。

 こうした中、応募が集中しているのが自治体の臨時雇用職員だ。県内の市町村が最大で計約4000人を採用し、がれきの撤去や窓口業務をしてもらう。

 「今なら、がれきの撤去などをする市の臨時職員の求人はあります。これでしのいではどうでしょう」。ハローワークの求人相談窓口で、石巻市の畳工場従業員の女性(40)が職員の説明を聞いていた。津波の被害で職場は休業。社長とは連絡がとれず、3月の給料も受け取っていない。高1と中3の子どもを一人で養う。「救援物資の仕分けならできるかも」と、紹介状を発行してもらった。

 だが、25日に月内の募集を締め切った石巻市では、定員248人に425人が応募し、採用されるかは不透明だ。女性は「生活がかかっているので、どんな仕事でもいいからほしい」と話した。

 ◇再開までに130億円必要…被災の造船会社

 経営者側も難題を抱えている。

 石巻港内にある造船会社「ヤマニシ」。約7万坪(約23万平方メートル)の広大な敷地には、組み立て前の船の胴体があちこちに転がる。数十人の従業員たちが手作業でがれき撤去に追われていた。

 同社は来年3月末の再開を目指し、従業員約200人には休業手当を支給する。国が休業手当の約8割を負担する雇用調整助成金制度を活用しているが、再開までには課題が山積している。

 津波で建造中の貨物船2隻と漁船10隻が陸に打ち上げられた。海に戻すには1隻約2億円必要。がれきも自己負担で撤去しなければならず、再開までに約130億円が必要という。前田英比古社長は「国はがれきの撤去など製造業への支援を何も示していないため、金融機関も融資をちゅうちょしている。雇用調整助成金だけでは、最終的に雇用が行き詰まる」と訴えた。
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