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再燃する将棋ブームは子供たちへ - 将棋で育まれる「待てる人間」と「無意識の力」を島朗九段が説く

ここ最近、将棋が盛り上がりを見せている。コンピュータとプロ棋士が真剣勝負を行った「将棋電王戦」をはじめ、今年3月には言わずと知れた大人気ゲーム『ポケットモンスター』と竜王戦がコラボレーションした「ポケモン竜王戦」も開催されるなど、従来の将棋の枠にとらわれないイベントも増えてきた。


島朗九段
1963年生まれ。1980年プロ棋士になり、1988年初代竜王に輝く。現在は日本将棋連盟常務理事を務め、東北地方を中心として、将棋普及に力を入れている。
そんな中、羽海野チカが描く大ヒット将棋漫画『3月のライオン』とコラボした将棋大会「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」が、7月20日の仙台会場を皮切りに全国7都市で開催される。8月23日には東京将棋会館にて、各地方都市大会を勝ち抜いた成績上位者による全国大会が行われる予定だ。

ゲームやインターネットなど、子どもたちにとって魅力的な遊びがいくらでもある現代において、なぜ将棋が再び注目されているのだろうか。今回は、「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」の審判長を務め、将棋の普及活動にも熱心に取り組む島朗九段に、あらためて将棋の魅力について聞いた。

将棋を通して"負ける体験"を学ばせたい

――最近、将棋を始める子どもや、将棋を始めさせる親が増えていると聞きます。「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」も前回から会場を2都市増やすなど、さらに盛り上がりを増してきています。島九段はこうした将棋ブームについてどうお考えでしょうか。

たしかに最近は、親御さんが将棋を知らなくてもお子さんに始めさせるケースが増えているように思います。ということはつまり、将棋に何か教育的なところでのプラスアルファを期待されているんじゃないかと思いますね。例えば礼儀やあいさつ、それから挫折に強くなることです。

――挫折に強くなるというと?

最近はどうしても子どもの数が少なくなったこともあって、傷つきたくない、傷つかせたくないという気持ちが大きくなってきているんですね。でも人生を歩いていく中で競争は避けられないし、正当な競争は人を成長させると私は考えています。将棋は決まったルールの中でベストを尽くして戦うわけですが、そこに負けはつきものです。羽生さんでさえ、10回に3回は負けてしまう。そういった正当な勝負の中で負ける体験ができるのは、教育における将棋の魅力の一つだと思います。


羽海野チカ『3月のライオン』(白泉社刊)
大人に近づくにつれて、負けることは増えていく。失恋とか受験とか、トラブルやアクシデントはどうやってもつきまとう。負けたら、現実を認めて、立ち上がるしかない。それは将棋の勝負に近いと思います。将棋はリセットボタンもないし、負けたら「負けました」と告げなくてはならない。そうやって負けて、挫折して、思うようにいかないことを体験してほしいですね。

――なるほど。勝負の世界という点では、スポーツにも似ているかもしれませんね。

そうですね。ただ、サッカーや野球やラグビーと違って、将棋は点数がつきません。だからこそ、なぜ勝てたのか、なぜ負けたのかを考える必要がある。私たちプロ棋士でもそうなのですが、出来のいい日と悪い日というのはあります。原因がはっきりした負けなのか、自分に自信がなくなったことで負けたのか、単なる不注意なのか――それぞれまったく違います。勝ちにしても、実力で勝てることもあれば、運で勝てることだってあります。

――将棋は完全に実力の世界かと思っていました。

アマチュアだと完全に実力の世界になることも多いですが、トッププロですと実力97%、運3%くらいだと思います。最後の最後は運の世界です。

結果と過程、どちらが大事か

――「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」のような大会では、練習での対局と違って負ければそこで終わりです。島九段がおっしゃる「負ける体験」を学ぶいい機会になりそうですね。

ええ。私が大会で親御さんにお願いしたいのは、きちんと褒めること。それも、勝った時に褒めるのではなく、努力した時に褒めてあげると、努力できる人間になるんですよ。勝った時や成功した時に褒めると、成功しなければいけないという強迫観念ができてしまいますから。勝ち負けよりもがんばったプロセスを褒めてあげることで、子どもには努力する喜びが生まれます。

――結果よりもプロセスを重視するということですね。

もちろん勝敗も重要です。私は結果とプロセス、どちらも同じくらい大事だと考えています。専門家の世界は、明日につながらないと意味がありません。あの時、こうすればよかったみたいなことは、プロでも思います。そこから反省し、練習法を変えたり、いろいろなアプローチを試みていくことが重要です。ただ、壁にぶつかることは誰にでもあります。スポーツでもそうなんですが、右肩上がりに強くなっているときもあれば、どうしても勝てなくなってしまうこともありますね。プラトー状態というのですが、これをどう打破していくかが大事になってきます。

物事が強くなるのは階段状だと言われていて、伸び悩む"踊り場"のときにがんばれるかどうかが大切です。人間に限界はあるかと聞かれることがあるのですが、僕は限界はないと思っています。プラトー状態があって、人が勝手に限界を決めてしまうのです。


将棋を覚えることで"待てる人間"になれる

――上達が停滞した状態でも我慢して努力できる能力を身につけさせられることは、教育的にも重要ですね。

相撲には"3年後の稽古"という言葉がありまして、今やっている稽古の成果は3年後に出てくるということなんですね。将棋も同じで、努力や勉強の蓄積が時間をかけて出てくるのです。もちろん、短期的な成果も重要ですし、悪ではありません。それがないとモチベーションも続きませんから。けれど、短期的な成果だけでは熟成する時間がない。例えば人間関係でも、1日で信頼は得ることはできない。長い時間をかけて得られるものというのは確かにあるのです。目先のことよりも、長期的に得られる報酬のために我慢して努力できるかが大事なんです。

――我慢できる力は、たとえ将棋をやめたとしても違う分野で役立ちそうですね。

何より、"待てる人間"になれるのは大きいと思いますよ。将棋は相手の手を待つつらさだったり、相手が思うように指してくれなかったりと、"待つ"ことが多い勝負ですからね。仕事でも会話でも、待つ時間は絶対に必要です。現代は便利な時代だから、待ちきれなくなることも多いのですが、その中で待てる人間というのは圧倒的に成功しやすいと思います。



――将棋ならではの心の成長ですね。

そういったことが無意識のうちに鍛えられるのが将棋のすごいところだと思いますね。無意識ってすごく重要なんですよ。そもそも人間の意思ってそんなに強くなくて、弱い筋肉なんです。例えば麻薬が体に悪いとか、依存症になってはいけないとか、わかっていても失敗してしまう人って後を絶たない。何かのきっかけでうまくいかなくなって崩れてしまうのが意思というものなのでしょう。

――確かにその通りです。

面白い例を一つ挙げましょう。スタンフォード大学で4歳児を相手にマシュマロ実験というものを行った記録があります。マシュマロを一つ置いて、先生が戻ってくるまで食べちゃダメだよ、我慢できたらもう一つあげるよと言っておくのですが、たいていの子どもは食べてしまう。しかし、中には我慢できる子どもがいる。そして、実験によると、我慢できる子どもの方が社会生活や学生生活でのストレスが少ないらしい。決してその子たちの意思が特別に強いわけではなく、うまく食べないで済むような考え方をしているんです。実はこのマシュマロは甘くないんだ――という風に。

これはどういうことかというと、"無意識は楽"ということなんです。大人は、今日仕事に行こうかどうか迷いませんよね。朝になるたびにいちいち迷っていたら大変です。これが無意識の力なんですね。将棋でも仕事でも無意識の力を訓練することはとても大きなことです。例えば羽生さんをはじめとする40代くらいの棋士が強いのは、この無意識の力が大きいんですよ。


羽生善治名人の強さ

――無意識の力ですか。

タイトル戦ともなれば、精神もかなりの極限状態に追い込まれます。ところが、羽生さんを見ていると、終盤になっても冷静で、朝10時ですみたいな顔をして平然と指している。あれは普通じゃないと思いますよ。それに、羽生さんは勝っても負けても変わらないんです。勝負が終わると感想戦を行うのですが、羽生さんの表情からは、その対局で勝ったのか負けたのかも読み取れませんからね。底知れない怖さがありますね。

もちろん、プロ棋士だって、負けたらもう「今日は失礼します!」っていう人もいますよ(笑)。だからこそ、勝っても負けてもまったく同じ態度なのはすごいことです。おそらく、羽生さんが1番勝ち負けで差がない人なんじゃないでしょうか。羽生さんはクールに勝っているようでも根性はすごくあるし、彼と同世代の棋士が今もトップで勝ち続けているのは、そうした精神面が大きいと思います。あまり世代論で語るのは好きじゃないのですが、羽生さん世代っておそらく精神論で育った最後の世代。その世代が今もトップで勝ち続けているというのはやっぱり異常なんですよ。

――それが羽生さん世代と若手プロ棋士の差なのでしょうか?

若手棋士の情報量や勉強量、気持ちの強さは申し分ありません。あとは先ほど申し上げた無意識の力をどれだけ身につけられるかで、若手が上の世代を凌駕できるようになるんじゃないかと。幸い、若い世代の情報の正しさを見極める力は、上の世代よりもはるかに上です。だから、アマチュアも子どもも、昔から比べると格段に強くなっている。ネットや「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」のような大会もありますからね。

――デジタルとアナログな部分をうまく融合させることで、若手棋士や子どもたちも飛躍しそうですね。

それに、そうした無意識の力や精神力というのは、組織だっていない私たちの世界では一番大事なことなんですよ。日頃の言動で得られる信用がとても大切なんです。



将棋のすばらしさを伝える棋士に


――島九段の経歴についても聞かせてください。そもそも島九段が将棋を始められたきっかけは何だったのでしょう。

実家は将棋とは縁がありませんでした。僕はクラシックギターを習っていまして、小学生のときにたまたまギターの先生が教室の帰りに将棋道場に連れて行ってくれたんですね。ルールくらいは知っていたんですが、やってみたら勝てない。子ども心にもう一度来てみようと思いまして、そこから将棋を覚えていきました。自分で強くなるというよりも、ライバルや周りの刺激のおかげで強くなれた感じですね。

――そこから17歳でプロ棋士になられ、24歳のときには伝説の「島研」を始められましたよね。島研には森内俊之竜王や羽生善治名人、佐藤康光九段といったそうそうたる顔ぶれが参加されていました。

下の世代に彼らが出てきてね、ある意味、棋士を諦めさせられたというか……(笑)。

――棋士を諦めさせられた!?

羽生さんも森内さんも佐藤さんも、あとは最近だと中村太地くんもそうなんですが、10代の頃からみんな立派すぎて人間的にも完成されていて、こんな人たちがいるのかと(笑)。中村太地くんなんて26歳だけど、自分のことを若手なんて思ってないと思いますよ。将棋棋士って子どもの頃からずっとやっているので、一般的には社会人3年目くらいでも、将棋界ではかなりのキャリアですからね。もちろん私も現役のプロ棋士なので勝ちにはこだわっていきたいですけど、それだけが役割ではないと思っています。

――将棋のすばらしさを伝える役割を果たされたい、と。

将棋以外の世界の方に会ったとき、将棋の良さやトップ棋士のすばらしさをちゃんと伝えられる棋士でありたいのです。自分が棋士になったときは竜王戦ができたりして、右肩上がりの時代でした。それを新たな世代に残していきたいですね。J:COMさんもそうですが、最近はさまざまな新規企業や、これまで縁のなかった世界の皆さんと付き合うことが増えてきました。「ポケモン竜王戦」などもそうですが、そうした他の世界との融合を手伝っていくのも、自分のやりたかった仕事なのかなと思いますね。


――最後に、「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」に参加されるお子さんや、保護者の方、そしてまだ参加を迷っている方へメッセージをお願いします。

大会ともなれば、知らない人も多くて、踏み込むのが怖かったりハードルが高かったりするかもしれません。ですが、将棋を通して、自分たちの中にある別の世界を探すことはすばらしい体験です。勝ったときのワクワク感や、負けたときの悔しさを感じて、それを身近な関係に生かしてほしいですね。勝つことも負けることも大事。一番もったいないのは、参加しないことですよ。

――ありがとうございました。

プロ棋士として最前線で戦いながら、将棋のすばらしさを全国の子どもたちに伝えて回っている島九段。その言葉からは、将棋のすばらしさがしっかりと伝わってきた。そんな島九段が審判長も務める「J:COM杯3月のライオン 子ども将棋大会」に参加して、大会でしか味わえない濃密な一日を体験してみてはいかがだろうか。
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