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外国人労働者の受け入れは、単純労働者になるのかエリートになるのか

 政府が2020年の東京オリンピック開催に伴い、建設労働者の不足を解消するため外国人労働者の受け入れ拡大について検討を開始したことで、外国人労働者の問題が再びクローズアップされています。

 建設業に従事する労働者の数はピーク時と比較すると約25%、数にして170万人ほど減少しています。オリンピック特需が加わることになると、建設業界での人手不足はより深刻になるといわれています。政府はこうした事態を受けて、建設労働者を中心に外国人の受け入れ拡大を進めようとしているわけです。また政府が現在取りまとめを行っている新しい成長戦略では外国人労働者の受け入れ拡大策が盛り込まれる予定といわれています。

 移民の受け入れは、労働市場のミスマッチを短期的に解決する有力な手段ではありますが、当然のその弊害もあります。政府が受け入れ枠拡大の検討を開始したことをきっかけに、国内では様々な議論が沸き起こっています。

 日本は表向きは移民に対して極めて厳しい制限を行っていることになっていますが、実際はそうではありません。日本には外国人研修制度や技能実習制度という仕組みがあり、すでに研修という名を借りた移民政策が実施されているのです。中国人やベトナム人など15万人程度がこの制度を使って日本に滞在しているといわれています。また日本に滞在する外国人の総数は200万人を超えており、工場の生産ラインや外食産業などでは、もはや外国人労働者はなくてはならない存在になっています。

 国内では外国人労働者を受け入れるか受け入れないかという議論になりがちですが、日本はすでにかなりの数の移民受け入れを行っており、経済もそれを前提に回っているという現実があります。まずはその現実から議論をスタートさせる必要がありそうです。

 またどのような外国人を受け入れるのかによっても議論の内容は変わってきます。産業競争力会議では、外国人用の医療サービスや住居の充実など、いわゆるエリート層の受け入れに関する議論も行われています。しかし単純労働者の受け入れとエリート層の受け入れでは、同じ移民といっても、その目的や手段がまったく異なります。


 日本では構造改革によるドラスティックな規制緩和策は民意でほぼ否定されている状況ですから、金融機関や大手事業会社の幹部社員の一定割合が外国人になるというような状況は望んでいないと考えられます。したがって移民政策の中核は単純労働者ということになるでしょう。ドイツのように高付加価値型の製造業にシフトし、付加価値の低い仕事はすべて移民に任せるというのはひとつの方法かもしれません。しかし日本の場合、ドイツのような産業構造にはなっていませんから、移民と日本人は同じ仕事を奪い合う関係になる可能性があります。

 一方で現実を無視して移民の流入を無理に制限してしまうと、コスト高が一気に進み、立ちゆかなくなる企業が続出します。そうなってしまうと、不法移民だけを増やしてしまうという最悪の結果にもなりかねません。移民の是非ばかりが強調されますが、日本の産業構造はどうあるべきなのかについて議論しないと、移民問題の本当の解決策にはならないのです。

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