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牛丼業界、もはや牛丼メーンでは戦えない?

 牛丼業界に変化が起きています。「焼き牛丼」を引っ下げ、2011年に牛丼業界に殴り込みをかけた東京チカラめしの業績が伸び悩み、2013年後半の半年間に39店を一気に閉店。かたや、丼ものチェーンのなか卯は、2014年2月12日に「煮る牛丼」の販売をやめました。

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 吉野家など大手3社も、客単価の高い「牛すき鍋」などに力を入れて始めています。実は東京チカラめしでは、昨年3月から「煮る牛丼」のテスト販売に取り組んでいましたが、検討の結果、本格導入を断念していたことも分かりました。もはや普通の牛丼は、これから主要な戦場ではなくなっていくのかもしれません。

 東京チカラめしは、三光マーケティングフーズ(東京都豊島区)の新規事業として、2011年6月、東京都豊島区の池袋駅西口に一号店が開店。牛丼といえば、「煮た牛肉」という常識を覆し、「牛肉は焼くのが一番おいしい」とアピール。一杯280円(当時)という低価格もあって男性やサラリーマンらに大いに歓迎されました。首都圏を中心に出店攻勢をかけ、わずか1年3か月後の2012年9月に100店を達成。ピークの2013年8月には、140店超に達しました。

 ところが、先行する大手チェーンも黙っていません。まず、松屋が380円の「焼き牛めし」を12年8月に投入。続いて、吉野家が480円の「牛焼肉丼」を同年9月、すき家が630円の「豚かばやき丼」を同年10月に発表。こうして牛丼業界の巨人たちが相次いで焼きメニューをぶつけ、チカラめしに襲いかかってきたのです。こうした影響をもろに受ける形で、東京チカラめしの勢いに陰りが見え始めます。昨秋あたりから売り上げが伸び悩み、2013年12月末現在で98店舗と三ケタを割り込んでいます。

 その東京チカラめしが反転攻勢をかける策の一つとして、昨年3月から一部の店舗でひそかにテスト販売に踏み切ったのが「煮る牛丼」でした。新丸子店(川崎市)を手始めに、いくつもの店舗で導入。昨年前半に新しく出店した店のうち、ほとんどが「煮る牛丼」を提供していたといいます。大手に焼き牛丼を「マネ」され、痛手を受けただけに、相手の得意分野で一矢報いたいところでした。

しかし、東京チカラめしの「煮る牛丼」に、消費者の反応は鈍かったようです。結局、同社としては「既存牛丼店と同質化・比較化される」と判断。今年に入り、煮る牛丼の本格導入は断念したといいます。現在は、多様な定食メニューの展開に力を入れています。

 煮る牛丼はやめる。同じような判断を下していたのが、丼ものチェーンのなか卯です。なか卯は2014年2月12日、牛丼の販売をやめました。それに代わるメニューとして「牛すき丼」の販売を開始しています。真っ正面から牛丼で戦う路線から外れたといえます。

 東京チカラめしを運営する三光マーケティングフーズは「ファストフードとして、国民食として、これまでの牛丼は低価格でなければいけなかった。しかし、食材原価の高騰は事業収益を圧迫する。このままでは存続できなくなる」と危機感をにじませます。

 その打開策として「牛丼メーンでなく、サブ的に牛丼を位置づけるか、高付加価値のメニューや定食メニューの開発」をあげます。

 もはや、牛丼メーンではやっていけないーー。背景には、円安による原材料の値上がり、4月の消費税アップがあります。そうした業界弱者の悲鳴は、牛丼の値下げ合戦を避けて、相次ぎ牛すき鍋に参入する大手3社にも相通じる思いでしょう。

 文教大学国際観光学科の横川潤准教授(フードサービス・マーケティング論)は「普通の牛丼では、どの社も利益が出にくくなっている。トッピングや別メニューで客単価を上げる方向に向かわざるを得ないのでは」と話しています。
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