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判決に斬られた遺族年金 この時代に「賃金男女差」とは、制度改革は必至か

 仕事上や通勤中の業務災害で亡くなった労働者の遺族に支給される「遺族補償年金」。夫を亡くした妻は年齢に関係なく年金をもらえるのに、妻を亡くした夫は原則55歳以上でないと受給できないという「男女格差」のある受給要件が官民共通して法制化されている。このうち、地方公務員災害補償法(地公災法)の受給要件をめぐり、「法の下の平等を定めた憲法14条に違反して無効」との判決が11月、大阪地裁で言い渡された。結局、被告側の控訴で2審以降に決着は持ち越されたが、違憲判断が確定すれば、官民すべての遺族年金を法改正する事態に発展しかねない。今後は控訴審の行方とともに、時代の趨勢(すうせい)を見据えた国側の自主的な「改革」にも注目が集まりそうだ。

■配偶者でなく「妻」「夫」…

 「化石みたいな法律だと思っていた」

 11月25日の判決後、大阪司法記者クラブで開かれた記者会見。原告である大阪府内の元会社員の男性(66)は地公災法の受給要件についてこう表現し、「当たり前のことが当たり前に認められた」と、満足そうな笑みを浮かべた。

 公立中学の教諭だった妻は平成10年、職務上の悩みから鬱病を発症して51歳で自殺。長年にわたる訴訟を経て22年4月、公務災害と認定された。男性は同年6月、地方公務員災害補償基金大阪府支部に年金を請求したが、「あなたの年齢では受給資格はありません」とあっさり断られた。

 受給要件を定める地公災法をよく読むと、夫と妻で受給要件が異なっていた。夫を亡くした妻は年齢制限がないのに、妻を亡くした夫は55歳以上しか受給できない。妻が亡くなった当時、男性は妻と同じ51歳で、受給要件を4歳下回っていた。

 「条文にはどうして『配偶者』ではなく、『妻』や『夫』と書いてあるんだろう。これはおかしい。そういう普通の感覚で訴訟を起こした」

 受給要件を満たさない場合は年金でなく一時金を受給できる。それでも男性は現在まで基金から一切の補償を受けてこなかった。「亡くなった妻は当然、『夫に何か残したい』と思っていただろうが、それが果たせなかった。妻がそれを知っていたら残念に思っただろう」と妻の心境を代弁した。

■専業主婦世帯、少数派に

 男女格差のある受給要件を「不合理な差別的扱いで違憲、無効」として、基金側の不支給決定を取り消した大阪地裁の判決。違憲判断の背景には、地公災法が制定された昭和42年から40年以上後の現代に至るまでの、時代の変化に伴う女性の社会進出をめぐる“格差”があるといえる。

 中垣内健治裁判長は判決理由で「制定当時は正社員の夫と専業主婦の世帯が一般的で、夫が死亡時に妻が就労しにくいなどの実態から一定の合理性があった」と認めた。ただ、現在の視点から判断すれば「共働きが一般的になり、男性の非正規雇用者が増加している。性別で分ける合理性はない」と指摘した。

 確かに地公災法の制定当時からしばらくの間は「夫が働き、妻が家庭を守る」という家族モデルが日本でも支配的だった。昭和55年、いわゆる専業主婦世帯が1114万世帯だったのに対し、共働き世帯は614万世帯で、ほぼ倍の開きがあった。しかし、女性の社会進出が増加し、平成に入ると共働き世帯が専業主婦世帯を逆転。平成22年には、共働き世帯が1012万世帯になった一方、専業主婦世帯は797万世帯まで落ち込んだ。

 判決では、22年に母子家庭のみが対象だった児童扶養手当が父子家庭にも支給される法改正があったことにも言及。男女差のある受給要件は合理性が失われたと結論付けた。

■「今も男女差」アピール

 敗れた基金側も、訴訟では「現在も男女間の賃金格差は大きく、受給要件には合理性がある」と、さまざまなデータを駆使するなどして反論していた。

 基金側の準備書面によると、総務省の労働力調査では、生産年齢(15~64歳)人口に占める労働力率(就業者と完全失業者を合わせた割合)が女性63・1%に対し、男性は84・8%で、「男女間に大きな開きがある」と指摘。さらに女性の労働力について、未婚者は63・4%だが、有配偶者49・2%、死別・離別者29・5%で、「特に死別・離別した女性の労働力率は男性よりも相当低い」と強調していた。

 また、男女の形態別雇用者数は、女性が正規従業員1046万人、非正規従業員1218万に対し、男性は正規2309万人、非正規539万人で、「女性の非正規の割合は男性の約3倍」と説明。国税庁調査による22年の平均給与も紹介し、男性が約507万円、女性は約269万円で「著しい格差が生じている」とアピールしていた。

 しかし、判決は結局、「共働き世帯の場合、遺族たる配偶者は、男女いずれであれ、単独で通常の生活水準を維持できないか、生活水準を下げざるを得ない状態にあるのは共通」と指摘。「妻の死亡で家庭責任が増大した夫が、従前と同程度の収入を得ることが難しくなる場合すらある」などとして、基金側の主張を退けた。

■遺族年金全体に影響か

 地公災法はそもそも、国家公務員災害補償法や、一般のサラリーマンが対象の労災保険法を参考につくられ、両法にも同様の規定がある。そのモデルとなったのは、昭和29年施行の厚生年金保険法の遺族厚生年金だった。

 地公災法の受給規定の違憲判断が確定すれば、これらの法改正も迫られるのは必至だ。木下秀雄・大阪市立大教授(社会保障法)も「公務災害補償や労災保険における男女差別だけでなく、遺族年金全体に影響を与える可能性がある」と指摘する。

 しかし、基金側は12月6日、判決を不服として控訴を選択した。「判決には受け入れられない点があり、関係者とも協議の上、総合的に検討した結果」とコメント。詳しい理由には言及しなかった。原告代理人の松丸正弁護士は「判決に即して法改正を進めてほしかった。控訴となって遺憾」と声を落とした。

 来年4月からは、これまで父子家庭には不支給だった国民年金の遺族基礎年金が支給される。ただ、こうした男女格差解消の動きはまだ一部に過ぎず、施策全体として妻に手厚いことには変わらない。違憲判決に“危機感”を持った政府や国会などで今後、自主的な格差解消の動きが加速することも予想される。

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