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視点・論点 「電子書籍と出版の未来」

大手ネット企業が参入したり、アメリカの最大手事業者のサービス開始が噂されたり、それらに対して日本の既存ビジネスの対抗策が次々打ち出されるなどして、電子書籍が本格的に普及する兆しが見えてきました。みなさんの中にも、スマートホンやタブレット型コンピュータで新しいタイプの電子書籍を試された方も多いのではないでしょうか?
 電子書籍は実は急に出てきたものではなくて、CDを使った電子書籍などは20年以上前からありますし、電子辞書なども含めて考えれば、かなり前から普及しています。
 それがいま改めて脚光を浴びつつあるのにはいくつかの背景があります。


 第一はこの10年間くらいで、読む機械をインターネット、それも無線でつないで、いつでも欲しいと思った時に書籍が入手できる環境が整ってきたことです。私の職業がら外国の本を沢山買うのですが、昔だと、店頭ではなかなか買えず、取り寄せようと思っても何週間も待たないと入手できなかった本が、一分も待たずに入手できて、送料もいらず買えることに、時代の変化を感じています。

 二つめのより最近になって登場した大きな要因が、ネットワーク上に「自分の本棚」ともいえる買った本の格納スペースを提供するサービスが始まったことです。

買った本をその本棚においておくことで、世界のどこにいっても、無線でつながったスマートホンや読書専用端末に本を呼び込んで、読むことができます。しかも、専用端末だけでなく、パソコン、スマートホン、タブレットなど、自分の持っているさまざまな機械に呼び出すことができますし、新しい機械を買った時には自動的に入れ替えてくれます。昔のように新しい機械を買うたびに新たにコンテンツまで買い直さなければいけなかった時代は昔のものになって、一生のうちに一回だけ買えば、以後いつでも読める時代がきたと言っていいでしょう。ネット本棚には事実上無限の容量がありますので、今までのように家の本棚があふれたので、もったいないと思いながら捨てる、などといったことをしないですむのもありがたい機能ですし、家がきれいに片付く効果もあります。
 実はこのような、新しいタイプの電子書籍サービスが生まれる前、日本はケータイ電話を使った電子書籍の分野で世界の先進国でした。特にケータイマンガやケータイ小説などでは、クライマックスシーンで電話機を振動させるなど、独自の表現形態を編み出してきました。それが、新しいタイプの「電子本棚」サービスで世界に後れを取って、いま大慌てで戦略を立て直しているところといっていいでしょう。

三つめに読む機械の発達も見逃せません。大容量化が進んで、手の平に入るスマートホンや文庫本よりも薄くて軽い専用端末などに数百冊の本を入れて持ち歩くことができます。おかげで昔は大変重たかった大学の先生のカバンが軽くなりました。専用端末には電子ペーパーという光らない画面が採用されていて、読んでも疲れないだけでなく電池が長持ちして旅行にでかけている間、一週間くらいなら一度も充電しないでも心配しないですむところまで来ています。

このように強力な流通手段が登場してきた中で、出版業界も電子出版への取組みを強めつつあります。従来は紙の出版物の売れ行きが落ちることを懸念して、やや消極的だった出版業界が主力の新刊本まで電子出版するようになってきました。電子出版は、紙では絶版してしまった本でも息長く売れたり、印刷など出版初期固定費が低いなどのメリットがあったりして、今までとは一味違った売り方がされるようになると思われます。
たとえば教科書の配布なども大きく変わることが考えられます。いま、大学などでは毎学期、文献を配るのに大変な労力を費やし、学生のみなさんの経済的負担にもなっています。しかし、あと5年か遅くとも10年もすれば、学生に電子ブックリーダーを渡して、大学側が書籍を登録すると自動的に履修した科目の教科書が手もとにあって、料金は大学側が一括して払うというような状態になっていると思われます。

売り方だけでなく、表現方法も変わってくるのではないかと思われます。いま、書籍は印刷したり配布したりするために、薄いものでも100ページはあって、安いものでも数百円はします。これが電子書籍が一般的になると、もっと短いものをもっと安く売ったりすることができるでしょう。また、書籍の中に写真ではなく動画を埋め込んだりするものも一般的になるものと思われます。

 書籍の電子化にともなって課題となっているのが、著作権です。電子ファイルは簡単にコピーできるために、オンラインで入手した本だけでなく、紙で売られた本もスキャンして電子ファイル化することで共有可能となってしまいます。昔は値段が高かったそのような機械の値段が下がったことと、インターネットの発達でファイルを送る費用や手間が小さくなったことで、既存の本の売れ行きが落ちると著作権を持っていらっしゃる方々などが心配されています。
 私は著作権問題の解決に先に述べた電子本棚が貢献してくれるのではないかと期待しています。いつでも本が入手できて、それがどこでも読めるようなサービスが存在すると、そのサービスの便利さゆえに、そこになるべく多くの本を置いておきたくなります。そしてそこに置ける本は正式に購入したものでなければ置けないように事業者が設計しておけばきちんと購入した書籍が、違法にコピーされた本を駆逐してくれるでしょう。
 この楽観シナリオが実現するためには、書籍の値段が下がることが必要になってきます。今のところ日本では、紙の本に遠慮してあまり値引きしていないのですが、海外では印刷費の削減、流通費の削減などを反映させて電子書籍の大幅な値下げや、著者に対する原稿料の支払いのアップなどが行われて、著作者も消費者も喜ぶ状況が生まれています。値段がどんどん下がって書籍の需要が高まって書籍の値段も下がり、著者への支払いも増えてどんどん良い著作物が生まれるような好循環が生み出される可能性は十分にあると言えます。

 もう一つ、解決しておくべき課題にプライバシーがあります。「本棚」の中には、過去に読んだ本や見た映画などが保管されていくようになりますが、それはその持ち主の好みや、考え方を知るてがかりとなります。いま電子書店などに入ると、「その本が好きな人は、別のこんな本も読まれていますがいかがですか?」などとお勧めして下さるのは便利で良いのですが、その情報が他に流出して悪用されたりするのは困ります。電子本棚を管理する事業者の方にはしっかり管理をしていただくようにお願いをしなければいけません。また、消費者の側も信用できる事業者を見極めて本棚を預けるのだろうと思いますし、銀行を使いわけるように複数の事業者を使い分けるのも手だろうと思います。
 新しい技術には古いものを壊す面と、新しいものを創り出す面があります。電子書籍は既存の出版を今のまま守ろうとすると破壊的な面がありますが、上手にやれば、読書を身近で、楽しく、便利なものにして、市場を大幅に拡大する展望が開けます。日本には、優れた出版文化もありますし、コミックなど国際的にも人気のあるコンテンツを創り出す力を持っています。プライバシーや思想の自由などを守る成熟した民主主義社会があるアジアの国として世界的にも認識されています。電子出版を梃に日本の出版文化を世界に広めるチャンスであると思って前向きに取り組むと良いのではないでしょうか?
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